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【開催報告 & 資料公開】AI コーディングエージェント with AWS 〜「自律的にコードを書くAI」の AWS での始め方徹底ガイド〜

こんにちは!AI/ML スペシャリストソリューションアーキテクトの近藤です。

2025年5月22日に「AI コーディングエージェント with AWS 〜「自律的にコードを書くAI」の AWS での始め方徹底ガイド〜」と題したオンラインセミナーを開催しました。AI によるコーディング技術が急速に発展し、ソフトウェア開発の生産性を劇的に向上させる可能性を秘めたこの革新的技術について、多くの方にご参加いただきました。本ブログでは、そのセッション内容を簡単にご紹介しつつ、発表資料と録画を公開いたします。

セッションの紹介

Keynote : AIエージェント時代のソフトウェア開発

アマゾンウェブサービスジャパン シニアソリューションアーキテクト 高野 賢司 [資料] [動画]

最初のセッションでは、高野より、AIコーディングエージェントの仕組みや背景について解説しました。ソフトウェア開発の歴史を振り返りながら、AIコーディングエージェントがどのように登場し、どのように機能するのかを説明しました。また、AI駆動開発の特徴や、組織への導入方法についても触れ、エンジニアとしてAIと共に開発していくための心構えについても言及しました。

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Amazon Q Developer で始めるAIコーディングエージェント

アマゾンウェブサービスジャパン ソリューションアーキテクト 国兼 周平 [資料] [動画]

2つ目のセッションでは、国兼より、Amazon Q Developerを使ったAIコーディングエージェントの始め方を解説しました。Amazon Q Developerの概要から、特にCLIでのエージェント型コーディング体験に焦点を当て、実際のデモを交えながら紹介しました。デモでは、カスタマーサーベイアプリケーションの開発を通じて、Amazon Q Developer CLIがどのように自律的にコードを生成し、問題を解決していくかを示しました。また、MCPサーバーを活用したイラスト生成やウェブ検索の機能も紹介され、AIコーディングエージェントの可能性の広さを感じられる内容となりました。

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Cline with Amazon Bedrock で始めるAIコーディングエージェント

アマゾンウェブサービスジャパン ソリューションアーキテクト 黒澤 蓮 [資料] [動画]

3つ目のセッションでは、黒澤より、Clineと呼ばれるオープンソースのAIコーディングエージェントツールと、Amazon Bedrockを組み合わせた活用方法について解説しました。Clineの特徴として、エージェント主導型の開発が可能であること、既存の統合開発環境に簡単に組み込めること、そして裏側で好きなモデルを利用可能であることなどが挙げられました。デモではVS Code上でClineを使ってテトリスアプリを短時間で作成する様子を紹介し、その効率性を示しました。また、組織でClineを導入する際の課題と対応策についても詳しく解説され、セキュリティとコンプライアンス、トークン消費とAPI制限、コスト管理といった観点からの考慮点が示されました。

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お客様事例 LT:合同会社DMM.com「ソフトウェア品質特性、意識してますか? AIの真の力を引き出す活用事例」

合同会社DMM.com エンジニア ミノ駆動 氏 [資料] [動画]

4つ目のセッションでは、DMM.comのミノ駆動氏より、ソフトウェア品質特性に基づいたAIコーディングエージェントの活用事例が紹介されました。ソフトウェア開発においてAIの力を引き出すには、ソフトウェア品質測定に基づいて指示する必要があるという視点から、変更容易性と機能適合性という2つの品質特性に焦点を当てた活用事例が紹介されました。特に「バグサーチャー」と呼ばれる負債分析用のプロンプトエンジンと、契約による設計を踏まえたテストコード生成の事例が詳細に解説され、AIを活用することで人間の10倍以上の生産性で高品質な分析やテストコードの作成が可能になることが示されました。

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お客様事例 LT:株式会社プロトソリューション「Amazon Q Developer 活用事例 in ベトナム」

株式会社プロトソリューション ソリューション開発オフショア 課長 Sankame 氏 [資料] [動画]

5つ目のセッションでは、プロトソリューションのSankame氏より、ベトナムオフショア開発拠点でのAmazon Q Developerの活用事例が紹介されました。従来型のオフショア開発からの脱却を目指し、AIによって少数精鋭の高生産性体制へのシフトを進めている状況が説明されました。Amazon Q Developer IDE版の導入により、炎上気味だったプロジェクトが納期に間に合い、リリース後のバグもほとんど発生しなかった成功事例や、保守プロジェクトでの工数削減効果(約20〜30%)などが紹介されました。また、AIエージェント中心の開発フローの構築や、MCPサーバーを活用したE2Eテストの効率化など、先進的な取り組みについても詳しく解説されました。

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AIコーディングエージェントを実際に現場で使うためには?

アマゾンウェブサービスジャパン AI/ML スペシャリストソリューションアーキテクト 近藤 健二郎 [資料] [動画]

最後のセッションでは、近藤より、AIコーディングエージェントを実際に現場で使うための考慮点について解説しました。主に開発チームのプロジェクトマネージャーや意思決定者の視点から、AIコーディングエージェント導入時のリスク管理、コスト管理、ログ管理、権限管理、コード品質管理などの観点について具体的な方法が紹介されました。特に、リスクベースアプローチの考え方に基づき、リスクがあるからといって禁止するのではなく、どう安全に活用していくかという方向性が強調されました。また、組織的な活用に向けた次のステップとして、ツールの選定、用途の明確化、各種管理方法の検討などのポイントが示されました。

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まとめ

AIコーディングエージェントは、ソフトウェア開発の方法を根本から変える可能性を秘めた技術です。本セミナーを通じて、その仕組みや活用方法、組織への導入方法について多角的に理解を深めていただけたのではないかと思います。
AWSでは、Amazon Q DeveloperやAmazon Bedrockなど、AIコーディングエージェントを安全かつ効率的に活用するためのサービスを提供しています。また、お客様事例からも分かるように、すでに多くの企業がこれらのツールを活用して開発効率の向上を実現しています。今回のセミナーがきっかけとなり、皆様の組織でもAIコーディングエージェントの活用が進むことを願っています。

AWS では、生成AIを活用したビジネス活動創造を支援する「実用化推進プログラム」も実施しておりますので、ご興味のある方はぜひご検討ください。

2025年6月25、26日に開催されるAWS Summit Japanでもコーディングエージェントに関連したセッションやブースを用意しております。本セミナーのKeynoteで話した高野からは「AI Agent時代のソフトウェア開発の型 ~ Everything as Code で叡智を伝える ~」というセッションを予定しております。ぜひご参加ください。

最後に、本セミナーにご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。今後もAWSは、最新のAI技術を活用したソリューションの提供を通じて、お客様のビジネス成長をサポートしてまいります。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 AI/ML スペシャリストソリューションアーキテクト 近藤 健二郎