Amazon Web Services ブログ

AWS Summit 2025 Japan 〜 流通小売消費財業界関連ブース/セッションのご案内

今年も 6 月 25 日と 26 日の 2 日間にわたり、幕張メッセにおいて AWS Summit Japan が開催されます。オンラインでのライブ配信も合わせると 4 万人超の参加者が期待されています。基調講演、事例セッションをはじめとする各種セッションとともに、AWS Expo のエリアでは AWS サービス、ソリューションの最新活⽤事例や、実際に AWS を触れるワークショップなど、皆さまが様々な⾓度から AWS の可能性を体験できるコンテンツを展開してまいります。

(写真は 2024 年の会場のものになります)

その AWS Expo エリア内に「インダストリー・パビリオン」のコーナーが設けられ、製造、金融、自動車、そして私たちの担当する流通小売消費財など 13 の業界別に特化したソリューションをご紹介します。各業界をリードするお客様の AWS 活用事例や、生成 AI をはじめとする最新テクノロジーの実用的なデモを通じて、業界固有の課題解決方法をご覧いただけるようになっており、また、業界に精通したエキスパートと具体的な活用シナリオについて、じっくりとご相談いただけるスペースもあります。私たち流通・小売・消費財業界担当チームでは、このインダストリー・パビリオンにおいて、今年のテーマである「The Future of Retail」で NRF、リテールテックのデモをさらに進化させた展示を行います。

このブログでは、AWS ブースの展示テーマや関連するセッションをご紹介します。ぜひ SUMMIT に参加される際の参考にしてください。なお Expo 展示の全体については、Expo ガイドでご確認ください。

AWS 展示ブーステーマ 「The Future of Retail – AWS の提案するリテールの少し先の未来」

流通小売消費財企業は、商品開発製造から物流、多様なチャネルを横断したシームレスな購買体験の提供、進化する消費者のニーズと期待に応えるためのオペレーション最適化などを再発明 (reinvent) するための変革に直面しています。その変革において欠かすことのできない技術要素である生成 AI を中心として、AR/VR、デジタルツインによるシミュレーションといった技術を組み合わせることで、店舗体験を「少し先の未来」へと変えることができます。多言語対応可能な 3D アバターによるショッピングアシスタント、最新の生成 AI モデルやエージェント AI を組み合わせた 3D 画像処理テクノロジーを駆使した購買体験などを実際に体験できる展示をご用意します。

今年の AWS 展示ブースは、デモ展示、技術展示、お客様事例展示の 3 つで構成されます。それぞれの見どころをご紹介します。

I-48A : デモ展示エリア

デジタル世界では 3D 技術の浸透によりモノの見え方やコミュニケーションが変化し、実物が手元になくても見たい角度や精度でリアルに確認できるようになってきました。店舗と e コマースや商品紹介サイトなどのデジタルを融合させる「オムニチャネル」や「OMO(Online-merge-Offline)」のトレンドに、この 3D 技術、生成 AI 技術を組み合わせることで、よりビジュアルにサービス体験の質を向上させることができます。これまで長くお客様に対応してきたベテランスタッフのような対応も、エージェント AI の技術で模倣できるようになっていくでしょう。

デモ展示エリアは、こうしたことが実現された次世代のアパレル店舗をイメージして設計しました。来店するお客様(ご来場の皆さまです)をリアルタイムに識別して、e コマースサイトのように過去の購買履歴や好みに基づくレコメンデーションを、3D アバターのショッピングアシスタントが提案します。商品の試着もデジタル空間で実現します。店舗に在庫のないサイズや色などの試着、あるいは試着スペースの確保の難しいポップアップストアでの利用などのユースケースが考えられます。

I-49A : 技術展示エリア

デモ展示のアプリケーションには、3D 画像を生成したり、それを体型に合うようにサイジングしたりする画像生成 AI サービスを利用しています。また顧客情報を収集する、その情報を利用してレコメンデーションを行うといった接客のために求められる一連のタスクをエージェント AI が担います。

さらにこういった技術要素を、デジタル空間の 3D アバターと連携させた魅力的な購買体験をもたらすフロントエンド、そのフロントエンドの要求に柔軟に応えることのできるバックエンドも重要なポイントです。デモアプリケーションのバックエンドとなるカートや決済といった主要なコマース機能には、これまでのブログでもご紹介しているサンプル実装である Retail Demo Store(こちらのブログで解説しています)を活用しており、バックエンドアプリケーションは Composable Commerce アーキテクチャとなっています。

技術展示エリアでは AWS の提供する生成 AI モデル、エージェント AI、関連サービスなどを中心に、デモを構成するアーキテクチャや実装方法を詳しくご紹介します。

お客様事例展示エリア

AWS を活用いただき、すでに実際にビジネス価値を生み出していらっしゃるお客様 2 社による事例紹介エリアです。

I-50C: 株式会社丸千代山岡家様

「AWS サーバーレスサービスで実現する ラーメン山岡家のキッチンオペレーション効率化」

ラーメン山岡家では、メニューごとに麺の種類を使い分け、茹で加減もお客様の好みに応じて提供しています。そのため、麺の調理を担当する「麺あげ」は従来、育成に時間のかかるポジションでした。そこで山岡家は独自に「ゆで麺タイマー」を開発し、2022 年に全店舗に導入、スタッフは容易に最適なゆで時間を選択できるようになりました。2025 年の β 版からは AWS Fargate や Amazon Bedrock を活用して、食券機から届いたオーダー情報を生成 AI サービスが最適な調理順に並べ替える機能が実装されました。これにより、さらなる顧客体験/従業員体験の向上が期待されています。

I-51C: 株式会社ジンズホールディングス様

「Amazon Bedrockと挑む「接客AI」で次世代メガネ購買体験へ」

メガネ選び、もっと楽しくスムーズにしませんか? JINS は、あなたにぴったりの一本が見つかる「対話型接客 AI」を開発中です。この AI は、Amazon Bedrock などの生成 AI サービスと RAG 技術の組み合わせで開発しており、フレームやレンズのおすすめ精度を継続的に向上させています 。自然な会話を通じて、あなたに合うメガネ探しをお手伝いします。未来のメガネ選びを、ぜひ当ブースで体験してみてください。

JINS 様は生成 AI をテーマにとして顧客セッションにもご登壇されます(CUS-16)。セッションにもぜひご参加ください。

流通小売消費財業界の方向け おすすめセッション

今年の SUMMIT のセッションでも、基調講演、スペシャルセッションに加えて、多様な業界のお客様事例セッション、パートナーセッション、AWS セッション合わせて 160 以上のセッションが予定されています。技術軸であったりビジネス軸であったり、セッション一覧ページでお好みのセッションを検索、絞り込みすることが可能です。

ここでは流通小売消費財業界の皆さま向けのセッションをピックアップしてご紹介します。

お客様セッション

6 ⽉ 25 ⽇ (⽔) 11:50 – 12:20

CUS-15: 市場変化に対応するサントリーグループの基幹システム改⾰

サントリーホールディングス株式会社

サントリーグループでは、急速な市場の変化に対応するため、これまでのスクラッチ開発による基幹システムの開発標準の⽅針を⼤幅に⾒直しました。今後は、SaaS サービスの導⼊やクラウドネイティブサービスの活⽤を促進し、AWS のマネージドサービスを活⽤した柔軟性と拡張性に優れたシステムアーキテクチャ構成を⽬指しています。この講演では、これらの取り組みについて、具体的な事例を交えて紹介します。

6 ⽉ 25 ⽇ (⽔) 12:40 – 13:10

CUS-16: アイウエア接客の未来を拓く〜⽣成 AI で進化するあたらしい顧客体験への挑戦〜

株式会社ジンズホールディングス

JINS は 2025 年を 「AI 元年」 として、本格的に AI 活⽤に取り組んでいます。メガネ購⼊における 3 つのお客様の困りごとである、いつ買っていいか分からない、メガネの買い⽅が分からない、⾃分にあったメガネが分からない。3 つの分からないを AI を活⽤して解消し、⾃分にピッタリのやり⽅でスムーズにメガネが購⼊できる。そんなアイウエア購買体験の「あたらしいあたりまえ」の実現に、AWS の⽣成 AI サービスを活⽤して取り組んだ事例について紹介します。

6 ⽉ 26 ⽇ (⽊) 14:20 – 14:50

CUS-38: GenU × Amazon Bedrock による実装への挑戦-オイシックス・ラ・⼤地が実現した 333 時間の⼯数削減の技術解説

オイシックス・ラ・⼤地株式会社

オイシックス・ラ・⼤地では、AWS が提供する OSS の GenU と Amazon Bedrock を組み合わせた独⾃の⽣成 AI アプリケーションを構築し、メールマーケティング業務を⾃動化しました。当技術的施策により、⽉間 333 時間の⼯数削減と CVR200% 向上を達成しています。本セッションでは、GenU と Amazon Bedrock の統合アーキテクチャ設計から、プロンプトエンジニアリングによる精度向上の実践⼿法まで、技術的知⾒を詳しく解説します。特に⽣成 AI の実⽤化に関⼼のあるソフトウェアエンジニア、AI インフラ設計・構築を担当されている⽅、Amazon Bedrock の実践的活⽤⽅法を探られている⽅に有益な内容となっています。

パートナーセッション

6 ⽉ 26 ⽇ (⽊) 16:00 – 16:30

AP-41: ファイアウォール内部で閉域駆動、国産オンプレミスエージェントとは?

株式会社 primeNumber

オンプレミス環境からクラウドへのデータ移行のハードルに悩んでいるご相談が増えています。本セッションでは初めに、オンプレミスの閉域環境にある基幹データを、安全に AWS クラウド環境へ暗号化・転送する方法を解説いたします。また後半では Amazon SageMaker Lakehouse の活用も可能な CDC 機能を兼ね備えたクラウド ETL「TROCCO」/AI データカタログ「COMETA」をご紹介します。

AWS セッション

6 ⽉ 25 ⽇ (⽔) 13:50 – 14:30

AWS-33: 顧客データに関わるエンジニアの⽅、全員必⾒︕“明⽇から使える” Customer 360 x AI の実践アーキテクチャー (Level 300: 中級者向け)

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社

多くの企業の重要課題である顧客データの統合、どこからどう⼿をつけるべきなのか。内製するのかSaaSを使うのか︖サイロ化され散在するデータ、鮮度の低いレコメンデーション、検証⽌まりの AI プロジェクト…。本セッションでは、顧客データの統合の課題を解決するための Customer 360 の実践的アプローチをご紹介します。Clickstream によるリアルタイム顧客分析から、重複顧客プロファイルの統合、AI・機械学習によるリアルタイムの顧客エンゲージメントまで。セキュリティとコスト最適化に配慮した実装パターンをデモを交えながら具体的に説明します。明⽇からのデータ戦略転換に直接活かせる設計⼿法と実装のノウハウをお持ち帰りください︕

AWS 体験ラボ

AWS 体験ラボのコーナーは AWS を触って学べるエリアです。生成 AI を中心としたいくつかのハンズオン環境をセルフスタディで学べる環境をご用意しており、手順書に従いながら操作することで AWS を学ぶことができます。流通小売消費財向けには、Summit に向けて Composable Commerce を手軽に実装することのできるハンズオンを新しくご用意しました。コードを書いたことのない方でも大丈夫です。展示ブースでご紹介している内容を、実際に手を動かして学んでみたいという方は、ぜひこのエリアにもお立ち寄りください。

なお、体験ラボに設置されている PC には数に限りがあります。お立ち寄りいただくタイミングによっては満席の場合もございますので、予めご了承ください。また、多くの方にご利用いただくため、混雑時には利用時間を制限させていただく場合がございます。

AWS Summit Japan 流通小売消費財ブースでお会いしましょう!

Born from Retail, Built for Retailers – AWS は、Amazon という小売業から生まれた、小売業のためのクラウドサービスです。そして、AI/MLは、Amazon において 25 年以上前から採用され磨かれてきた技術であり、お客様が Amazon.com で目にする機能の多くは AI/ML によって実現されています。AWSは、Amazon.comによって市場テストされた後、皆さまにご利用いただくために外部化された業界固有のサービスを継続的に開発しています。すべてのクラウドサービスプロバイダーが同じではありません。AWS は、小規模なスタートアップチームの俊敏性と、エンタープライズクラスの小売業リーダーの経験を独自に組み合わせています。この経験が、小売企業に大きな成長をもたらし、世界最大の小売企業が AWS 上でビジネスを展開している理由です。AWS ブースではご紹介してきたデモごとに、ユースケースに最適な生成 AI が選ばれて利用されていることもご覧いただけます。

AWS SUMMIT Japan 2025 において、私たちは AWSが描く小売業界の姿を様々なデモとともに展示します。ぜひ AWS ブースで「見て、触れて、体験できる “顧客体験”」をご覧ください。会場でお会いできることを楽しみにしています!

イベント案内

名称:AWS Summit Japan 2025

会期:2025 年 6 月 25 日 (水) ‒ 26 日 (木)

* 開場時間や講演時間の最新情報は公式サイトでご確認ください。AWS Expo は両日ともに 10 時からとなります。

会場:幕張メッセ

イベント公式サイト:https://cloudwatch-portal.com/jp/summits/japan/ (ご来場にはこちらから事前登録が必要です)

流通小売参考情報

[1] AWS ブログ ”流通小売” カテゴリー
[2] AWS ブログ “消費財” カテゴリー
[3] AWS 消費財・流通・小売業向けソリューション紹介ページ
[4] recap ページ、EIB ブログも紹介

このブログは、ソリューションアーキテクト 杉中 が担当しました。